考えさせられる少女漫画を探している方におすすめなのが、電子書籍で読める完結漫画『こどものおもちゃ』です。
小説家の母を持つ小学生タレントが主人公の本作。一見華やかな設定の少女漫画ですが、子供を取り巻く社会問題が詰め込まれた衝撃作です。
- 完結漫画『こどものおもちゃ』の簡単なあらすじ
- 完結漫画『こどものおもちゃ』のおすすめポイント
- 『こどものおもちゃ』の個人的なお気に入りキャラクター
- 『こどものおもちゃ』のおすすめエピソード
- 『こどものおもちゃ』電子書籍はこんな人におすすめ
- 『こどものおもちゃ』の書籍情報
完結漫画『こどものおもちゃ』の簡単なあらすじ
TVで大人気の小学生タレント、倉田沙南(くらたさな)は、明るく元気な12歳。しかし、学校の雰囲気は最悪。クラスを牛耳る羽山秋人(はやまあきと)が教師いじめを行い、学級崩壊を起こしていたからだ。沙南は秋人を止めようとするが…。
完結漫画『こどものおもちゃ』のおすすめポイント
いじめ、性、心の病などなどの重いテーマが見え隠れする少女漫画
『こどものおもちゃ』は、主人公の性格が明るいため、コメディ調の部分も多いのですが、実はかなり重たいテーマを扱っている漫画です。
小学6年生の男子が集団で教師いじめをする、という最初のストーリーもなかなか衝撃的ですが、この問題が解決した後が本番。秋人の家庭は問題を抱えており、彼の心理的負担がかなり大きかったことが分かるようになっています。
また物語が進むと、沙南自身の家庭環境もかなり複雑であると判明します。
明るく強い主人公に見えた彼女が苦しむシーンは見ていて胸が苦しくなります。
このように『こどものおもちゃ』の中には、教師いじめだけでなく、傷害事件、家庭内暴力、若年出産、孤児、心の病など様々な重たいテーマが登場します。
この作品を読むと、子どもたちの世界は過酷なものであることに気づかされます。
もちろんただ暗いだけでなく、そんな世界に立ち向かおうとする沙南達の姿が本作の魅力になっています。
だいぶ前に完結した少女漫画ですが、電子書籍なら今でも全10巻を新品で購入できます。一気読みをおすすめします!
ヘビーでビターな恋愛関係
『こどものおもちゃ』は少女漫画雑誌、「りぼん」に連載されていた作品です。同誌連載作品の多くと同じように、『こどものおもちゃ』も恋愛要素が含まれています。
といっても、その内容は「同級生や幼馴染とのほほえましい恋愛関係」とは一線を画しています。
最初、主人公の沙南は、専属マネージャーの青年、相模玲(さがみ れい)を「ヒモ」と公認しており、小遣いを上げた上で恋人扱いしています。
登場時の沙南は小学生ですから、これは少女漫画の恋愛描写としてはかなり壊れたシュチュエーションですよね。
玲との疑似恋愛が終わった後、沙南と秋人は惹かれあうようになりますが、二人に降りかかる試練も一般的な少女向け恋愛漫画では見られないほどハードです。
ティーン向けの恋愛漫画、と考えていたら度肝を抜かれるはず。大人が読んでもハラハラドキドキできる完結漫画と言えるでしょう。
大人側のキャラクターも見てほしい
『こどものおもちゃ』には、様々なサイドキャラクターが登場しますが、特に大人側の登場人物に注目してほしいです。
子どもが主人公になる少年、少女漫画では、時に大人側の描写が単純になってしまうこともありますが、『こどものおもちゃ』の場合は、繊細なキャラクター設定がされているように思います。
例えば、沙南の母、実紗子(みさこ)は直木賞を受賞した売れっ子作家で、頭にリスを飼っているという破天荒な人物です。
沙南のことをおおらかに見守りつつ、時に厳しい助言もしますが、実は彼女自体も大きな葛藤を抱えていたことが分かります。
実紗子は途中で沙南の出生に関して一連の騒動を起こします。
これは沙南の気持ちを考えると許されるものではないかもしれませんが、実紗子に感情移入するようになると、同情的にとらえてしまうという人もいるでしょう。
また、物語中盤をすぎるころには、秋人に対して執拗に嫌がらせをする千石という教師が登場します。
彼は大きくなっても子供時代が克服できない大人として、妙にリアリティのあるキャラでもあります。
このようなキャラクター描写があるからこそ、『こどものおもちゃ』は大人の読者にもお勧めできる電子書籍になっていると思います。
派生ドラマ「水の館」「DeepClear」にも注目
『こどものおもちゃ』の主人公、沙南は、ドラマや映画でも活躍する演技は女優でもあります。
作中では、映画を撮るために山の中でロケを行うシーンがあります。この時撮っていた映画のタイトルが「水の館」。幽霊の出る古い屋敷を舞台とした、ミステリーホラーです。
紗南は作中で謎の少女、真子を演じるのですが、この映画作品はスピンオフとして漫画化されています!
こちらも古い作品ですが、電子書籍で読めます。『こどものおもちゃ』の知識が無ければ読めないというわけでもないので、一巻完結の電子書籍として楽しむことも可能です。
もちろん、『こどものおもちゃ』を読んだ後であれば、より楽しめます!
また、『こどものおもちゃ』の未来の世界が見られる短編集『Deep Clear 』も電子書籍で読めます。大人になった沙南が見たい人は、必見ですね。
『こどものおもちゃ』の個人的なお気に入りキャラクター
『こどものおもちゃ』の個人的なお気に入りキャラクターは、剛君です。
剛君は、沙南と秋人のクラスメートとして登場するメガネくん。
一見の〇太に似た、ちょっと気弱そうな外見をしていますが、結構内心はしっかりしており、自分を持っているキャラクターだと思います。
秋人とは全く違うタイプではありますが、対等に接せる友達、時にライバルとしてしっかりポジションを確立しています。
なお、彼も家庭内に結構な秘密を抱えています…。
『こどものおもちゃ』のおすすめエピソード
全体的にどのエピソードも面白い『こどものおもちゃ』ですが、一番印象に残ったのは、コミックス7~8巻にまたがる「小森編」でしょうか。
小森という秋人に執着した生徒の物語ですが、秋人が過去から未来に向かうための大事な転換点になるストーリーです。
重たいエピソードが多い『こどものおもちゃ』の中でもヘビーなストーリですが、ぜひ最後まで読んでほしいなと思います。
『こどものおもちゃ』電子書籍はこんな人におすすめ
- ハードなテーマでも楽しめる人
- 一風変わった少女漫画を読みたい人
- 大人でも読める少女漫画を探している人
- 昔「りぼん」を読んでいた人
『こどものおもちゃ』の書籍情報
著者:小花美穂
全10巻(りぼんマスコットコミックス)
最終巻発売日 1999年1月
ジャンル:恋愛 ドラマ